「生涯結婚できない男は、全体の2割だそうだ」
「いや、そのことを知ってる女子はいないよ」
「そうだ。単純に、うわっ! 男だけで飯食ってる。暗っい! そして、キモい! って思われているんだ。
「それ、もっと悪くないか?」
「でも、女子も、いい男がいればそいつの所に行くもんじゃないのか?」
「いやぁ、基本的に女子は受け身でしょ。来てくれるのを待っているんじゃないかなぁ? だから、来てくれる奴に心を開くのさ」
「じゃあ、俺達も行こうぜぇ!」
 そのかけ声と共に、僕は飛び出した。

罰当たり

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天命を全うして、それでも届かなかった事にとやかく言うのは、人間とか妖怪だけです。
「逆に、それで能力不足を嘆いて、神様を詰るのは、罰当たりです」
 折角、人に貸せる手を頂いたのに、その手だけじゃ足りない、というのはおこがましい。両手じゃ足りない程助けたい人がいるのなら、他の人に助けを求めて下さい。
「この日本には一億人以上の人間がいます。妖霊も数千、数万といるでしょう。一人の手は二本でも、何人に助けを求めても良いんです。人が二本しか手を与えられていないのは、人間が不十分なのは、それで足りなくなったら人に助けて貰え、という事なのかも知れません。人との縁を大切にしろ、という事なのかも知れません」

手当たり次第

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 和奏が、水智が、雨夜さんが、他の多くの器人たちが、餓鬼を薙ぎ払っていく。
 それに俺も乗る。[餓鬼]をぶつけ合う。そのまま[餓鬼]が勝てばもちろん、負けそうでも他の[餓鬼]を送って、挟み撃ち。俺自身は手当たり次第に餓鬼を支配していく。
 ――[餓鬼]五十二体
「はい。餓鬼、全滅しました」
 その言葉を茜から聞いたときには、[餓鬼]がまた増えていた。
「短い間、ありがとうな」
 俺はそう言って、リュックの中の五十二の缶を片っ端から潰していった。
「『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』『潰滅』」
 踏む度、踏む度に[餓鬼]が死んでいく。黄泉の国に還っていく。
 消滅する瞬間の悲しそうな、寂しそうな顔。それに気付かない振りをして次々に消していった。
 全部の[餓鬼]が消滅すると、俺は尋ねる。
「藤川さん達は?」

「信楽せんぱーい!補習終わりましたー!」

 人なつっこい子犬みたいに(すず)(もり)()()が纏わり付いてくる。校則を無視して短くしたスカートをふわふわとなびかせて。肩に掛かった学生鞄が俺の背中に当たって、少し痛い。

 鈴森の着ている中高一貫の有名女子校の制服の紺色のセーラー服に白い埃が付きそうで、俺は咄嗟に掃除機の電源を切った。

「はぁ・・・・・・。どうした?鈴森」

 鈴森が掴んでいる手を振り解こうとすると、鈴森のぱっちりとした眼と俺の怠そうな眼がぶつかる。

怒ったように

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 怒ったように階段を上がっていく和奏。まぁ、本当に怒ってるんだろうけど。

「じゃあ、また明日」

 俺はあくまで紳士的にお別れの挨拶をした。うーん。急に感情的になってしまったレディーに大人な対応ができる俺、まじ紳士。

「拓。お前、いつか本当に嫌われるぞ?」

 苦笑交じりに架が言う。

「いや、別に大丈夫でしょ。それに、その様子からして、兄貴も楽しんでただろ?」

「神は、その御心、海のように寛大にして、太陽のように温かい。だから、あんな小娘でもその心を痛めたのだと思い、我は心苦しいぞ」

 学校に来れなくなっても、来たいと思う子は、保健室に来るんだよ。
「あぁ・・・」
 曖昧に僕は答えた。仕方ないだろう?リアクションが取りづらい話だったんだから・・・。あ、はい。僕の能力不足ってのは自覚しています・・・。
「君は9番ブースだ」
 そんな僕に気を遣ってくれたのか、気付かなかったのか、飛鳥先生は無視して話を進めてくれた。進めてくれたんだけど・・・、意味が分からなかった。
「9番ブース?」
 飛鳥先生は1階の奥のプラスチック製の壁を指差した。あそこだよ。

 紫藤さんと久米村さんを完全に置き去りにして話を弾ませる。でも、二人の顔に昨日のような諦めはない。後輩のほんの少しの、でも大きな一歩を心から喜んでいるとでも言うように、優しく微笑んでいた。・・・。ただ、僕に対する「うわっ、キモ!」みたいな顔止めてくれよ、久米村さんよ・・・。
 普通の反応ってのが、今はどっちになっているのかはわからない。あと10年後、20年後にはどうなっているのかもわからない。でも、今の僕たちはライトノベルが好きだし、そんな自分を笑われている。それだけが事実だ。

いつからか、僕は普通にゲームを楽しむ事を忘れてしまった。戦って、戦って経験値を集めてレベルアップして。そうしていつか、プログラム内のデータが変わって強くなる。その過程に何の意味も見いだせなくなってしまった。中学の時はプロアクションリプレイを使って遊んでいた。でも、自分の思い通りのチートをさせてくなって、プログラム内のデータだけ変える方法を知りたいと思った。そう思っていたら、博人が教えても良いと言ってくれたので、PC部に入部したという流れだ。

チートは、汚い行為で、恥じらうべき行いなんだ。そういう思い込みをしている人はたくさんいる。そういうのが彼らの常識なんだろうな。だけど、ネトゲーって、

そもそも公平か?お金があれば課金でき、フリーターは、プレイ時間がほぼ無限だ。素直に遊んでいたって、決して彼らに勝利できはしない。だからって、ボットを使わないで、プレイすること、

それが正義なのか?彼らには、勝つことができないと何もせずに、勝負で負けてアイテムを強奪されて、でも、何もすることができない。それだったら、姑息なことをしてでも、一矢報いる方が良いだろ!

歳時記

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自分自身を把握する為の歳時記だけれど、書けない日が一日だけあった。彼と僕の記憶と言っても、全部が全部一致している訳では決してない。ほぼ同一であるとされてはいるが、連続はしていない。

彼の場合は、寝ている間に体中が読み取られて、記憶と身体の情報が記録される。ということだから、彼が死ぬ前日、このベッドで寝ていた時から、僕が目覚めるまでのおよそ一日の記憶が抜けてしまっている。

まあ、彼が次の日の何時まで生きていたかが分からないから、記憶の空白がたったの何時間かなのか、たっぷり24時間なのか、それは、多分誰一人知る者がいないことであった。